NECO シリーズ　Bucci 2024　　750ml

山形県上山の丘に広がるぶどう畑で
ひと房ひと房に手をかけながら育てられたマスカット・ベーリーA。
NECOシリーズのBucciは、その畑の空気や人の手の温度ごと
瓶の中に閉じ込めたようなワインです。

2024年は秋の長雨に見舞われながらも、実りは濃く静かな力強さを宿しました。
ぶどうを託す鈴木昌人さんから、その息子・隼人さんへと代を引き継ぎ、
若い世代の造り手たちが互いに励まし合うように育んだ、節目のヴィンテージ。
その情景を思い浮かべながらグラスを傾けると、
香りの中にふと、人の繋がりや時間の流れを感じるような深みがあります。

口に含むと、完熟ベリーの艶やかさとミントの清涼感、
やわらかな酸がほどけながら薪火のような温もりが残ります。
果実味の厚みの中に、どこかクラシックな気品があり、
それでいて肩の力を抜いて楽しめる親しみやすさも兼ね備えています。

冷やしすぎず、13〜16℃ほどの温度帯で。
魚介のトマト煮込みや、ハーブをきかせた鶏のグリル、
あるいは小さな器に盛ったフムスとオリーブをつまみに、
気のおけない仲間と囲む夜にぴったりです。

ネコシリーズらしく、
価格以上の味わいとやわらかいユーモアをそっと纏いながら、
時間をかけて開いていくワイン。
今飲んでも美しいバランスですが、あと2年ほど眠らせれば、
酸と香りがさらに調和し、静かな奥行きを見せてくれるでしょう。

どこまでも穏やかで、どこか芯のある赤。
“Bucci”が、みなさまの食卓にささやかな灯りをともしてくれますように。