五橋　純米にごり酒　 720ml

新酒らしいフレッシュさをぎゅっと閉じ込めた
冬のはじまりを告げる、にごりの生原酒。
グラスを近づけるとふわりと広がるのは華やかさのある香り。
白い花や、熟れすぎていないフルーツを思わせるような
爽やかさと甘やかさが同居したニュアンスです。

勢いよく主張してくるというより
「もう一度、香りを確かめたくなる」タイプの華やかさ。

ひと口ふくむと、まず感じるのは軽やかな口当たり。
すっと舌の上をすべっていくのに、
そのあとから、とろりとしたにごりの旨みが
じんわりと広がっていきます。

生原酒らしい密度のある味わいなのに、
重たさではなく充実感として身体に入ってくる。
米の甘みとコクが、やわらかい毛布にように口の中を包んでくれます。

にごりと聞くと「発泡しているかな？」と
想像される方もいるかもしれませんが、
この一本は、シュワシュワと弾けるタイプではありません。
フレッシュさとにごりのまろやかさだけで勝負してくる、
静かな生原酒。

とろみを感じるテクスチャーの中に
やさしい甘みと、きれいな後味が同居していて、
一杯目より二杯目のほうが
そのバランスの良さに気づけるような仕立てです。


平日の夜、軽めの中華おかずをいくつか並べて。
海老焼売や、春雨と香味野菜たっぷりのサラダ、
ほんの少し花椒をきかせた豆腐料理など。
にごりの甘みとコクが、香辛料や油のニュアンスをやさしくつなぎとめ、
後味はきれいに整えてくれます。


「今日はちょっとだけ季節を感じたいな」と思った日に。

冬の空気と、あたたかい湯気が立つ食卓のあいだで
フレッシュさと、とろりとしたにごりの旨みが
そっと会話をはじめるような一本です。

この冬の記憶のどこかに
静かに紛れ込ませておきたくなる
そんな冬のにごり生原酒。
グラスの中の白いゆらぎとともに、
あなたのいつもの時間が、
少しだけやさしく彩られますように。