◾︎奈良萬　純米生貯蔵 1800ml ◾︎

── ひと足先の季節と、10年先の味覚へ。
福島・喜多方から届いたのは、目に鮮やかな
グリーンラベルの「奈良萬 純米生貯蔵」。
深呼吸したくなるような新緑の色合いと、
どこか涼やかで凛とした佇まいが印象的な一本です。

このお酒は、冬に搾った純米酒を生酒のまま低温でじっくりと熟成させ
季節が巡るころに火入れして瓶詰めされています。
その工程は旨みを引き出しつつも口あたりに
軽やかさを残す絶妙なバランスを生み出しています。

口に含んだ瞬間みずみずしい果実のような香りがふわっと広がり
やがて柔らかな甘みに包まれます。
しかし、それだけでは終わりません。
後味には、わずかな苦みが顔を出す。
これが、この酒のテーマでもある「苦みの旨さ」。
ただ甘い、ただ軽い、では終わらせない。
お酒の一滴が持つ重心を、しっかりと感じられる設計です。

どこかクラフトビールにも通じるような飲みごたえがありながら
食事と並べても喧嘩をしない控えめさも持ち合わせています。
キレがよく、余韻はさっぱりと心地よい。
まさに「飲み飽きしない」という言葉がぴったりの一本です。

造り手は“10年先を見据えた味”と語ります。
その言葉の真意を、グラスを重ねるたびに感じたくなる。
トレンドを先取りするというよりももっと遠くを見ている。
そんな印象を残す仕上がりです。

レモンを搾った鶏の塩焼きや、香味野菜を使った夏の冷菜。
揚げ浸しや南蛮漬けなど、酸と油が効いた料理とも相性抜群です。
夕暮れの縁側や窓を開け放ったキッチンで
ひと息つく時間にぴったりの1本。

この夏グラスの中に未来の余白を忍ばせた
「奈良萬」を、ぜひご体感ください。