山川光男 2025 あき　　720ml

十周年を迎えた光男さんは、今回自らの手で
お酒に祝いの帯を結んだようです。
けれども、よく見るとそれは水引というより
祭りのときに締める鉢巻きのようにも見えてしまう。
少し肩の力が抜けたユーモラスな佇まいに、自然と頬がゆるみます。

そんな節目の一本には、十周年にちなんで
「協会10号酵母」が初めて採用されました。
蔵元がこの節目に挑戦した味わいは、
まるで窓辺から吹き込む秋の風のようにやわらかく
マスカットを思わせる爽やかな吟醸香がふっと広がります。
甘やかさもありながら後味は軽やかで
日常の食卓にすっと馴染んでくれる酒質です。

旬の秋鮭をバターで香ばしく焼いた一皿や
クリームチーズにナッツを添えた前菜がおすすめ。
ほのかな果実感と乳製品のコクが響き合い、
食事がいつもより少し特別な時間に変わります。

休日の夕方、友人と語らうひとときや、
読書や映画のお供にもしっくり寄り添ってくれるでしょう。

十年を経た光男さんは、祝祭と日常のあいだを軽やかに行き来しながら
私たちに寄り添う一本を届けてくれました。

その杯に、これまでの時間とこれからの未来を重ねてみるのも
きっと素敵な秋の夜になるはずです。