奈良萬 ひやおろし 1800ml

夢心酒造で醸される〈奈良萬〉の「ひやおろし」は
秋を迎える季節の節目にふさわしい、静かで豊かな一献です。

春の初めに生まれた酒は、一度だけ火入れされ
ひんやりとした冷蔵タンクの中で夏を越します。
炎暑の季節を静かにくぐり抜けるあいだに
若々しさは落ち着きを帯び
まるで果実がゆっくりと熟していくように
旨みが丸みを増していきます。
そして秋風が吹きはじめる頃
生詰めという形で瓶に託される
――それが「ひやおろし」の姿です。

盃を近づければ、かすかに甘酸っぱい香りが立ちのぼり
林檎や葡萄を思わせる秋の果実の陰影が漂います。
ひと口含めば、熟成を経たまろやかな旨みが舌の上でほどけ
そこに穏やかな辛みがそっと寄り添います。

透明な水の流れのようにすっと切れていく。
軽やかさと奥行きが静かに共存し
飲み手の心に澄んだ余韻を刻みます。

食卓に寄り添う力もまた、奈良萬ひやおろしの魅力です。
きのこのリゾットや、秋鮭のソテー。
中華であれば麻婆茄子や青椒肉絲といった濃い味わいの料理にも
繊細な酸と柔らかな旨みが溶け込みます。

日々の食卓の上に静かに灯るような一本。
秋の夕暮れ、窓辺に差し込む光とともに楽しめば
そのやわらかな味わいは暮らしの一場面を
優しく彩ってくれるはずです。