鯉川 秋上がり 辛口 完全発酵 1800ml

日本酒度+21。
こちらのお酒はただ鋭いだけではない。
酵母が最後のひとかけらの糖までも食べ尽くし、
澄みきった余白を残した「完全発酵」の味わいには、
清々しいまでの潔さと奥行きが宿っています。

盃に注げば、香りは控えめながら凛とした気配。
果実を削ぎ落とした果皮のような瑞々しさ、
米麹のやさしい甘さ、
そして柑橘の白い綿を思わせるほろ苦さがほのかに重なり合う。
口に含むと、きりりと冷えた空気のようなアルコール感が走り抜け、
しっかりとした酸が骨格を築き、
最後には心地よい苦みが余韻として残り、静かに溶けていく。
それはまるで、余白を生かした墨絵の一筆のように
端正で無駄がない。

秋の夜には、ぜひお燗で。
湯気にのって、冷やでは見せなかった温もりが立ち現れ
芯の強さの奥からやわらかさが顔を出す。
体の奥まで染み込むその穏やかさは、熱を受けても揺るがない
鯉川の酒質が持つ確かな底力の証です。

「完全発酵」という名をもつこの一本は、
数字では表せない清澄さと余韻を兼ね備えています。
どうぞ今宵の食卓に、この切れ味と静けさを添えてみてください。
その一杯が、日常の景色に新しい陰影を描いてくれるはずです。