ドメーヌ・パーラー ナチュ―ル 750ml

せんきんの蔵に、小さな果実工房が生まれました。
そこから始まったのが「ドメーヌ・パーラー」。
自然を重んじ、できる限り手を加えずに果実を発酵させる。
シンプルでありながら土地の色を強く映す「単発酵」は
日本酒の並行複発酵とは対照的で
せんきんがずっと夢見てきた挑戦でした。
数えきれないほどの国内外のシードルを試し
理想を探し求めた先にたどり着いたのは
栃木のりんごそのものの力に寄り添うこと。
甘みが強く酸味の少ない日本のりんごから
どうすれば深みのある味わいを描けるか。
その答えは「シンプルに、一次発酵をまっすぐに進めること」でした。

りんご果汁には余計な手を加えず、自然に発酵が進むのを見守る。
そして発酵の過程で生まれるガスをそのまま残すことで
軽やかな泡とともに芳醇さを生み出す。
シードルを手にした瞬間から蔵の哲学がしなやかに立ちのぼります。

グラスに注げば、すりおろしたばかりの果実を思わせる
控えめで澄んだ香り。
口に含むと、柔らかな果汁の甘みがじんわりと広がり
みずみずしい酸味が寄り添います。
重たさはなく、最後はすっと引いていくドライな余韻。
まるで秋の午後、落ち葉が舞う庭先でりんごをかじったときのような
素直で清らかな味わいです。

澱を濾過せず、酸化防止剤の添加も最小限に。
自然のままを尊び、可能な限りピュアなかたちで瓶に詰め込んでいます。
ここには、シードルを超えてワイン醸造へも広がっていく
せんきんの夢と希望が息づいています。

洋食の夜なら「キャベツとソーセージのポトフ」。
野菜の甘みと肉の旨味を、シードルの酸がすっきりとまとめあげます。
秋の夜長に友人を招いて「栗ごはんと塩麹チキンのオーブン焼き」。
食卓を囲む空気そのものをやわらかく整えてくれるでしょう。

『ドメーヌ・パーラー ナチュール』は、
果実の旅のはじまりを告げる一本です。
梨や葡萄へも広がっていくであろう物語の最初のページ。
その一杯は、まるで季節の合間に吹き込むやさしい風のように
日常の時間を少しだけ豊かに変えてくれるはずです。