長珍 ひやおろし原酒 R6BY 純米吟醸 1800ml

十月の夕暮れは、どこかお酒を恋しくさせます。
空気の温度がゆるやかに落ちて
金木犀の香りが過ぎていくころ。
そんな季節にそっと寄り添うのが長珍のひやおろしです。

原酒らしい厚みと18度の力強さを持ちながら、
どこか丸く、人肌のような温もりを感じる。
一口目は、澄んだ旨味が舌の上で静かにほどけ、
やがて熟した果実のような甘みと
穀物のやさしい香りがふわりと広がります。

このお酒の魅力は、包容力にあります。
冷やせば、芯の通ったきれいなキレが際立ち、
常温では米の甘みがゆったりと花開く。
燗ではその厚みが深まり
まるで秋の夜に寄り添う毛布のように心を温めてくれる。
時間が経つごとに、角がほどけ、余韻はより穏やかに。

ペアリングは、秋の日常のひとこまに合わせて。
夕暮れの食卓には、里芋の煮ころがしやバター香る鮭のホイル焼き。
夜更けには、チーズとくるみ、それにひとかけの洋梨。
日常のお料理が、長珍と出会うことで
少しだけ物語を持ちはじめます。

一日の終わり、テレビの音が遠くに聞こえる時間。
冷蔵庫からこの一本を取り出して、
静かにグラスを傾けてみてください。
ひやおろしのやさしさが、今日をねぎらい
明日へと穏やかに繋いでくれるはずです。