楯野川　本流辛口　純米大吟醸　1800ml

十月。湯気の向こうで湯呑みが曇り、まな板に包丁の音が小さく響く。
そんな“ふつうの良い夜”の真ん中で、静かに背筋を伸ばす一杯があります。
楯野川「本流辛口」――薄くて辛いだけの“昔のイメージ”から一歩離れ、
米の旨味をきちんと抱きしめたまま、きれいに切れていく辛口。

香りは落ち着いた吟醸香。派手に立ちのぼらず、白い茶碗の湯気のように穏やか。
口に含むと、まずは端正なドライ感が舵を取り、そのすぐ後ろから
精米で磨かれた米の旨味がふわりと重なります。
輪郭は凛として、後口はすっと視界がひらける――
“辛さ”と“旨さ”が同じ歩幅で進む、気持ちのよいバランスです。

通年ラインナップの中でももっともドライで、食事に寄り添う設計。
和食はもちろん、味の輪郭がはっきりしたおかずほど、この酒の本領が出ます。
冷やすと透明感が際立ち、少し温度を戻すと旨味がやさしく広がる。
テーブルの中心に置いておきたい、頼れる食中酒です。